デイサービスで働く看護師の仕事内容を知りたいですか?自分にはできるかな、向いているかな?そんな疑問をお持ちですか?この記事では6年間のブランクがあり、デイサービスで看護師として働き始めた私が、デイサービスの看護師の仕事内容について書いています。私はこれまで総合病院でしか働いた事がなかったので看護師としての常識を覆されましたが、働きはじめてから1か月がたち、徐々に慣れてきました。これから、デイサービスで働く事を検討している看護師さんに読んでいただけたらと思います。
デイサービス 看護師の仕事内容は?
デイサービスでの看護師の仕事内容についてみていきたいと思います。基本的には何でもします。
デイサービスで働いています
6年間のブランクを経て、4月よりデイサービスで看護師として働き始めています。これまで、総合病院しか経験がなく介護施設で働くのは初めてです。
どんなデイサービスで働いているの?
認知症に特化したデイサービスで、利用者の大半の方は認知症です。要介護度は1~3の方が多く、大半の方はご自分で歩いてトイレに行かれます。1日の利用人数は15人~20人と比較的小規模なデイサービスです。1日に3~5人の宿泊デイも受け入れています。
1日に勤務する職員は生活相談員が1名、介護職員3名、看護師1名、調理の方、ドライバー、事務の方がいます。
宿泊デイの際の職員は介護職員で、看護師の夜勤やオンコールはありません。
デイサービス 看護師の配置時間は?
9:00~17時15分です。
デイサービス 看護師の仕事内容は?
看護師しかできないような業務は少なく、基本的には介護士さんや調理の方と連携して何でもします。
なので看護師としての責任もあり、色々な業務をマルチにこなしていかなくてはいけないので大変です。
私の勤務するデイサービスでは送迎は看護師が行うことはありません。
具体的な仕事内容は以下のようになります。
太字でない項目は、看護師、介護職員間の役割分担ははく誰でも行う業務になります。
服薬管理 与薬
薬は効果、副作用など専門的な知識が必要となります。従って、看護師しかできない業務になります。
手順
①薬の準備と確認
②与薬
になります。
①薬の準備と確認
利用者が持参した薬の内容と錠数を確認して昼食後分や食前薬を準備します。夕食を食べて帰る利用者さんや泊まりの利用者さんにはそれぞれ夕食後の薬や翌朝の薬も準備します。
利用者さんの中には一人暮らしの方も多いので薬を間違ってもってきたり、持ってこなかったり、朝の分を飲んでいなかったり、様々な事が起こります。臨機応変に対応しないといけません。
②与薬
私はこの与薬が本当に最初は恐怖でした。
何故、恐怖かと言うと、デイサービスでは病院のようにベッドネームがあったり利用者さんがリストバンドなどの名前がわかる物を身に着けているわけではなく、あくまで顔を見て「○○さん」と認識するしかないのです。
入職したばかりの頃は、利用者さんの顔と名前が一致せずに、他の職員に名前を聞いて与薬していました。ただ、与薬するときも本当にこの人は「○○さんなんだろうか」「人を間違えていないかな?」と不安でいっぱいでした。なので、確認するために、病院で実施していた方法で本人確認をしました。
それは利用者さんに名前を言ってもらう事です。こちらが名前を言って呼び掛けると、認知症の方や高齢でやや耳がとおい人などは自分の名前でなくても返事をしてしまう事があるからです。自分で名前を言ってもらうと確実です。
インスリン注射、血糖チェック
常時おられるわけではないですが、時々あります。インスリン注射や血糖チェックの施行、見守りも看護師の役割です。
一人暮らしの人なら基本的には自宅でも自分で注射や血糖チェックを行っているはずなので手技をみたり、直近の血糖値の推移を自己管理ノートで確認したりします。
自宅で家の人が注射している場合はデイサービスでは看護師が行います。
注意したいのは本人が持参したインスリンや血糖チェックの袋の中に使用済みの針がむき出しで入っていることがあるので誤針には十分注意しないといけません。
皮膚の状態チェック、軟膏塗布
皮膚の状態の観察も重要な看護師の役割の一つです。入浴中や入浴後に浴室から介護士さんに呼ばれて見に行く事が多いです。異常があれば持参された軟膏を塗布したり、連絡帳に書いて、家の人にも様子を見てほしい事を伝えます。
バルーンカテーテル、胃ろう管理
胃ろうの方はまだ遭遇したことがないですが、バルーンカテーテルの方はいます。
何をするかと言うと、ウロバックの尿の正常や量の観察と入浴時に消毒をしてキャップをつけバルーンカテーテルとウロバックを外す、入浴後はまた接続をします。
他にはストーマ管理などもあります。
バイタルサインで判断する
バイタルサインの測定は介護士さんもしてくれます。ただ以前は、手首の血圧計を上腕につけて測定したり、血圧が高かったのに入浴を決行してしまう介護士さんがいたそうです。
その値が正常か、異常か、また入浴が可能かどうか判断をするのは看護師の役割になります。
よくあるのが血圧が高めの方の入浴です。少し横になってもらって何時間かして再検して血圧が下がっており、本人さんも大丈夫そうだったら入ってもらいます。
他には発熱です。発熱の原因として多いのが誤嚥性肺炎なので、横になって胸の音を聴診したり酸素飽和度を測定します。最も責任が重いと感じるのが病院受診のタイミングを見計らうことです。このまま横になって、休んでもらうか、病院を受診するか、、、
看護師は一人ですが、生活相談員さんや施設のケアマネージャーさんと相談して病院受診するかを決めています。私が働くデイサービスでは病院受診に付き添うのは看護師ではなく相談員やケアマネージャーさんです。
急変時対応(誤嚥、発熱)
急変時の対応の陣頭指揮をとるのは看護師の役割です。急変として多いのは発熱です。上にも書きましたが、病状を観察して、病院受診をするかどうかの判断をします。
これまでに意識消失や呼吸停止などのような重篤な急変は起こっていないそうです。
他には食事時のむせや誤嚥に注意して食事を見守ります。万が一、誤嚥してしまったり食べ物が喉に詰まった場合は食べ物を除去するために背部叩打法などを実施する必要があります。
吸引機は使われた形跡がないまま保管されており、これまでに使用したことはないと説明を受けました。
記録、連絡帳チェック
来られた利用者さんの連絡帳をチェックします。連絡欄に家族の方から連絡事項が書かれている事があるのでチェックし、他の職員にも伝えます。
機能訓練や食事、排せつ、入浴などデイサービスで過ごした様子をタブレット端末に記録していきます。病院での看護記録は患者さんが見る事はできませんが、タブレットに入力した内容は連絡帳にも記載され、本人さんや家族の方が目にすることとなります。
バイタルサイン測定
デイサービスに来られた時点で熱、脈拍、血圧を測定します。異常があれば看護師に報告します。
食事介助、見守り
ほとんどの方が一人で食べられますが、エプロンをつけてあげたり、食事前の手洗いをします。
入浴介助
入浴介助は1日に10人前後を基本的には3人の介護士さんで入れます。
どうしても介護士さんがいないときは看護師も介助に入る事があります。
トイレ介助
ほとんどの方が一人でトイレに行けます。1名~2名はトイレ歩行に付き添い、1名くらいはオムツ装着の方がいるのでベッド上でオムツを交換します。
ベッドが壁にくっついているせいか結構重い方でも一人でオムツ交換をしている人が多いです。
機能訓練
午前中と午後に1回ずつ音楽を流したり、DVDを見ながら体操や瞑想をします。
実施するのはほとんどが介護職員さんですが、看護師が行うこともあります。
口腔ケア
デイサービスに到着時にもうがい、手洗いをしてもらいます。
配膳、下膳、ミキサー食作り
昼食の配膳、下膳をします。時にはできた料理を盛り付けたり皿によそったりします。
ブレンダーを使ってミキサー食にしたり、キッチンばさみで食べやすい大きさに切ったりします。
お茶出し、おやつ準備、皿洗い
デイサービス到着時と午前中、午後にお茶出しをします。
15時にはおやつの準備、おやつを提供します。調理の方が15時までの勤務なので、おやつの皿洗いや食器を片づけたりします。
掃除
フロアの掃除とトイレ掃除をします。
散歩、レクリエーション
デイサービス施設周辺を散歩したり、季節毎にレクリエーションを考えたり実施したりします。
フロア見守り
基本的にはデイサービスに来られた利用者さんは一つのフロアで過ごします。
帰る時刻が近くなるにつれそわそわし、落ち着きがなく歩き回る方がいます。時には外に出てしまう方もいます。そのような方たちに転倒や事故がないように声をかけたり見守りをします。
デイサービス 看護師の1日の業務の流れ
数多くの業務があることを理解していただけたと思います。次に時間毎にどんな動きをしているかを見ていきます。
業務の中には介護士さんと一緒に行う業務も含まれます。
1日の流れ
9:00 出勤。業務開始
当日の利用者の人数と到着する時間、帰宅時間を確認
コーヒーの準備 湯を沸かす
9:30 利用者の連絡帳チェック、薬準備
全体職員、看護師間の申し送りノートを確認する。
利用者のバイタルチェック、確認
10:00 利用者にコーヒーを提供
10:30 入浴後の利用者に水分提供
入浴後の体調チェック 皮膚状態観察
11:00 機能訓練 利用者の様子をみて記録
11:30 昼食の準備
盛り付け、お茶、お箸の用意など
昼食前の手洗い
12:00 配膳、昼食
食事介助、見守り
12:30 昼食後薬 与薬
適宜、下膳
13:00 休憩
14:00 午後入浴の利用者さんの体調チェック、皮膚状態観察
機能訓練、記録
14:30 おやつ準備
15:00 おやつ提供
15:30 連絡帳印刷、記録、連絡をチェックし、利用者さんのファイルに閉じこむ
16:00 帰宅準備 荷物、靴、薬をまとめる
16:15 順次、利用者さんが帰宅 見送り
16:30 皿洗い、トイレ掃除、フロア掃除
17:00 夜勤者に申し送り
17:15 業務終了
おおまかにはこのような感じになります。ここにトイレ介助や見守り、電話対応、急変対応などが含まれます。
ここまででいかがだったでしょうか?デイサービスにおける看護師の仕事内容について少しイメージを持つことができたでしょうか?
デイサービスの仕事をやってみたいと思いましたか?
理想と現実のギャップで辞める人が多い
デイサービスの面接を受ける時に聞いたのですが、想像以上に大変で理想と現実のギャップで辞める看護師が多いそうです。なので、一度仕事の内容を知ってほしいと、半日の職場体験をすすめられました。私は夫がデイサービスで勤めているので、デイサービスでの看護師の仕事に対して何となくイメージを持っていたため、現実と想像していた内容にそれほどの乖離はなかったです。
辞める人はどんな理想を持っていたかというと、「もっと楽だと思っていた」「看護師業務だけをすればいいと思っていた」というのが多いそうです。
介護施設に通う高齢者は基本的に持病は持っていても入院するほどではない比較的元気な高齢者が多いです。なので、介護現場=楽だと考える人が多いのかもしれません。実際は看護師しかできない業務はほとんどなく大部分が介護士さんや調理の人と連携して業務をしていかなければなりません。
デイサービスの仕事内容を理解していただいた上で、デイサービスの看護師に向いている人、向いていない人について考えてみました。
デイサービスの看護師に向いている人
看護師業務以外の仕事がメインだが抵抗がない人
デイサービスでは看護師独自の業務はほとんどなく介護の仕事や雑用が多いです。そのような仕事も周囲と連携しながら抵抗なくできる人はデイサービスに向いていると言えます。
利用者さんとじっくり話をすることが好きな人、コミュニケーションスキルが高い人
検査や手術、治療がメインの病院と違い、デイサービスは生活の場です。利用者さんとお話をする時間は病院よりはじっくりととれます。病院のように入れ替わりが激しくないので長期間利用されている方も少なくないです。生育環境や生い立ちなど、病院では聞く事ができなかったような身の上話も聞く事ができます。そのような話を苦痛なく聞ける人は向いていると思います。
また、耳が遠い人、認知症の人、同じ事を何度も1日中聞く人など様々な人がいます。そのような方たちともコミュニケーションを円滑にとる事ができる人は向いていると言えます。実際に一緒に働いている年配の看護師さんは同じ事を何度も聞く利用者を鼻で笑ったり、目の前で悪口を言ったりします。
利用者だけではなくデイサービスでは家族とのコミュニケーションやケアマネージャーや相談員など様々な職種が一緒に働きます。連携して業務をするのでそのような方たちとも円滑にコミュニケーションを図る必要があります。
高齢者看護や認知症看護に興味がある人
デイサービスに来られる方はほとんどが高齢者です。そのため、高齢者看護や認知症看護について興味がある人、勉強したい人には向いていると言えます。
私は義母が認知症で要介護5であったこともあり、認知症についてより深く学びたいと思い、認知症特化型のデイサービスで働こうと思いました。
夜勤のない職場で働きたい人
デイサービスはその名の通り、夜勤がありません。夜勤のある職場で働きたくない、働けない人にとって、デイサービスは夜勤がないので向いていると言えます。ただし、夜勤がないのは労働条件の事になるので、他の向いている、向いていない人のチェックもしてください。
利用者のちょっとした変化に気づき、周囲に相談できる人
デイサービスに来られる利用者は基本的には元気なのですが、急変もあり得ます。
医療の専門家は看護師一人です。ちょっとした変化を見逃さず、適切な判断ができるように他の職種の人に相談できるかが大切です。
俗に言うほうれんそう、「報告、連絡、相談」ができる人はデイサービスに向いていると言えます。
デイサービスの看護師に向いていない人
看護師の仕事に対しプライドの高い人
このタイプの人はデイサービスには向いていません。特に、病院しか経験のない看護師は、デイサービスで介護業務など看護師業務以外の事をするのに抵抗があったり、介護職員を見下す人が多いです。
むしろデイサービスでは看護師しかできない仕事の方が少ないです。介護業務もその他の業務も何でもこなさければなりません。介護士を下に見る人もいますが、介護士さんに教えてもらう事もたくさんあります。介護の事では介護士さんが詳しいし、プロです。特に看護師として働き始めの時は利用者さん毎のちょっとした介護のコツなどはわかりません。介護士さんにその人に合わせた個別的な介護についてたくさん教えていただきました。
一緒に働いている年配の看護師は介護士への見下しが酷かったです。私をいきなり別室に呼んだかと思うと
「あの介護士は無資格で、何も知らない」
「あの介護士も無資格で派遣で来ている」
「あの介護士は仕事をしない。」
など陰口のオンパレードでびっくりしました。
しかし、年配看護師の経歴を聞くと納得できました。病院勤めが45年でデイサービスに来たそうです。しかも病院ではオムツ交換など一切したことがなく生活援助の部分はケアワーカーや看護助手さんがして、摘便をしたあとのオムツもベッドにそのままで、後片付けは看護助手さんがするのでしなくてよかったそうです。
当然、看護師の仕事しか病院で長年してこなかったのですから、看護師のプライドが高すぎて、介護士を見下しているのだと思います。
コミュニケーションが苦手な人
他の職種の人や利用者、家族など多くの人とのコミュニケーションが必要となります。
コミュニケーション自体が苦手な人はデイサービスには向いていないと思います。
デイサービスで働きたいですか?
ここまで読んでいただいて、デイサービスでの看護師の仕事内容について理解していただけましたでしょうか?ただ、あくまで私が勤めるデイサービスでの業務の一例ですので実際に皆さんが働かれるデイサービスでは仕事の内容が違うかもしれません。参考にしてください。
以下の記事でデイサービスの面接を受ける際の志望動機の書き方について説明しています。よろしければ参考にしてください。
デイサービスの志望動機は?40代、ブランクありの看護師の実例
おわりに
いかがだったでしょうか。デイサービスの看護師の仕事内容についてみてきました。デイサービスで働く看護師には様々な役割の遂行が求められ、大変だと感じる場面も多いです。介護や看護など業種の垣根を越えて、連携をしていく必要があります。最近は少しづつ仕事にも慣れ、楽しくなってきました。またデイサービスで働いて得た気づきなどはこのブログに書いていこうと思うので良かったらまた読みにきてくださいね。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。